家づくりを考えるとき、
消費するエネルギーを少なくする工夫をすることは
あたりまえのことになりつつあります。
現在、主流となる省エネルギーの考え方は、
太陽光発電パネルやコジェネレーションにより自家発電を行い、
家庭で消費する電力を補填することで
「差し引きとして」消費電力を少なくする考え方です。
あるいは、自家発電した電力を電力会社に買い取ってもらうことによる、
「金額換算」を省エネルギー度合いの目安とする考え方です。
そして、これらを実現する、コピュータに制御されたシステムの家は、
一般に「スマートハウス」と呼ばれ、大々的に宣伝されています。
しかし私たちは、省エネルギーを実現するために
高価な設備を導入が前提というスマートハウスの考えに
少し疑問を感じています。
電気を「じゃんじゃん使って、じゃんじゃん作る」ではなく、
家づくりや暮らしにおいてエネルギーに頼らない工夫をすることで、
消費するエネルギーを抑制することができるのではないかと考えます。
そして、その結果、わざわざ高価な設備を購入する必要はないのではないかと考えます。
「家づくりや暮らしにおいてエネルギーに頼らない工夫」
それを私たちは「パッシブデザイン」と呼んでいます。
「パッシブ」とは「受動的」ということ。
自然にある太陽の日射しで部屋を暖めたり、明るくしたり、
あるいは、風をじょうずに室内に取り込むことで、部屋を涼しくしたりする工夫です。
また、それらで得られた暖かさ、涼しさをずっと維持できるように、
家の断熱性能や気密性能を高めることも含まれます。
例えるならば、
穴が開いているバケツの水位を一定に保とうとするとき、
「穴をふさごう」と考えるのがパッシブデザイン、
「水をどんどんつぎ足そう」と考えるのがスマートハウスと言えます。
この、「穴をふさぐこと=パッシブデザイン」をまず最初に考える家づくり、
いわゆる「パッシブファースト」を設計の基本に据えるのが、
私たちの「省エネですごしやすい」家づくりです。